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外国人実習生受け入れにあたり、もっとも懸念されるのが「言葉」。淀川組合では日本語教育を終えた実習生のみを配属させているのですが、依然、現場作業において言葉は大きな「カベ」とみなされています。

 

ところがそんなカベを軽々と乗り越えてしまう会社が大阪府大東市にあります。ウレタン製品を製造するD社は2003年からベトナム人実習生を受け入れていますが、05年に外国人研修生・技能実習生日本語作文コンクール(JITCO主催)で優秀賞受賞者を輩出したほか、毎年の在籍者ほぼ全員が難易度の高い日本語検定級に合格し続けています。

 

外国人の日本語能力を飛躍的に上昇させるという独自の取り組みを語ってもらいました。

 

―――――――D社さんはもともとはベトナム実習生1名から受け入れを始めたんですよね。

 

D社 山本社長 そうです、日本人社員の定着に悩んでいたところ、取引先の紹介で淀川さんを教えていただいたのがきっかけでした。とはいっても外国人を雇ったこともなく不安なので、最初は大学卒の子を1人だけ選んで受け入れてみました。

 

 

そうしたらこの子が本当によく頑張ってくれたんですよ。勉強では日本語作文コンクールで準優勝しましたし。

 


すごく人あたりの良い真面目な子でしたが、とにかくハングリーでしたね。寮に遊びに行くと、イワシ1匹ときゅうりだけがおかずの晩ご飯なんかを食べていました。お金はほとんどを貯金や家族への仕送りに充てていたんですね。

 

―――――――うーん。すごい。この最初の子が帰国した後は、3名づつ受け入れる形にされていますね。

 

 

山本社長   そうですね。これまでに9名が満了帰国しています。今年ベトナムへの社員旅行があったのですが、全員が家族を連れて会いに来てくれました。帰国後自分で起業して、社長になった子もいましたよ。

 

社長も毎日業務日誌を執筆!

―――――――いい話ですね~。ところで、D社さんは淀川組合の中でも、ベトナム実習生の日本語教育では突出した実績を残してらっしゃいます。卓抜した日本語力を育てる秘訣として全社で取り組んでいる業務日誌システムをあげれらっしゃいますね。

 

山本社長    うちは創業者である会長が日々の業務を確認できるよう、以前から日本人全員に毎日業務日誌を書かせているんですよ。実は僕も毎日書いているんです。

 

 


―――――――え!?社長も書くんですか?

 

山本社長    はい。書くだけでなく。幹部を除く一般社員の日誌は社員全員が回覧するようになっています。ベトナムの子たちの日誌はパートのおばさんから班長にいたるまで全員が目を通し、文法の間違いを赤ペンで訂正しているんですよ。

 

―――――――毎日日本語作文の添削ですか!コンクールで入賞するのもわかります・・・。しかし、ものすごい労力がかかるのではないですか?

 

山本社長    確かに出張などで間があくと溜まってしまって大変ですよ(笑)。でも、トラブルや不良発生などの状況を全員が把握できるメリットがあります。(日誌を見せながら)これは日本人社員の日誌ですが、目を通した上司が書いた部下へ「もっと具体的に(説明せよ)」などとコメントを赤ペンで書きくわえています。

 

このやり取りは皆が読めるんです。ベトナム人への教育だけでなく、社員みんなが社内の状況を素早く把握できるメリットがあります。

 

 

――――――――ベトナムの子だけに日誌をつけさせることは他社でもありますが、途中で「昨日と同じ」「書くことがない」とか言いだして頓挫する例が多いのが現状です。

 

御社では日本人全員も毎日書き、チェックし合っている点が成功の秘訣のように感じます。

 

山本社長     でも、日誌は日本人社員でも最初はなかなか書けないですよ。「ベトナム人よりも下手ちゃうか」と言われる人もいます(笑)。ただ、誰でも毎日書いていると上手くなっていくもんです。字まで上手になりますよ。

 

 


うちはそもそも国籍など分け隔てなく接する社風ですからね。若い社員の子たちはベトナムの子の寮にしょっちゅう遊びに行っていますし。

 

――――――――以前伺ったのですが、山本社長はベトナムの子の日本語検定前に自ら「特別授業」を寮でやるとか。

 

山本社長     そうですね、今年7月の試験前は日曜日に朝から寮に行って特訓を施しました。午後はすき焼きパーティー をしましたが(笑)。感心するのは、皆それなりに勉強してきていることですね。

 

――――――――仕事しながら勉強するのは大変でしょうが、それだけ本気で応援されるとモチベーションにつながるのでしうね。こちらが愛情を持って接することも成功の秘訣かもしれませんね。今日はありがとうございました!!